アルバム写真集

記事一覧 トップページ


 令和元年06月03日掲載

〔 Vol.12 : マーチン B-57キャンベラ(その1) 〕

イギリスのイングリッシュ・エレクトリック(E,E)キャンベラをライセンス生産したマーチンB-57 キャンベラは、1960年代の横田に駐在していた機体でもあり、よく見ることができました。EEキャンベラは1600機生産されましたが、マーチンB-57の各型は400機程生産され、B-57A型から最後に生産(21機改造)されたRB-57Fまで、私にとっては見なれていた機体でもあり、特別な思い入れがあります。なお、RB-57Fの一部の機体は、現在でもNASAで稼働状態にあります。

 
❖ マーチン B-57B 53-3937 3rd BW {1963年5月 横田基地}

1963年初めて行った横田基地三軍記念日での撮影で、唯一のネガカラーです。エンジンインテークカウリング脇から伸びている黒い帯の汚れは、エンジンスタートを火薬式のカートリッジスタートで行った場合に出る黒煙の排出跡です。なお、EE キャンベラとライセンス機であるB-57との違いは、エンジンをRRエイヴォンからASサファイアに変更したことで、このカートリッジスタート時の排気口を3方向(10時2時6時の位置)から左側1か所となり、B-57のスタート時の黒煙は特に印象に残っています。

 
❖ マーチン B-57E 55-4276 {1964年5月 横田基地}

1964年5月 横田三軍記念日での撮影で、この時期の直前、横田基地のB-57爆撃機部隊(3rd BW)は撤退し、F-105戦闘爆撃機(3中隊)に交替しています。

 
❖ マーチン B-57B 53-3925 {1964年 横田基地} 

横田 R/W36から着陸するB-57Bで、この機体は、1965.4.14 ベトナムのダナン上空で他の1機(53-3926)と空中衝突、失われました。

 
❖ マーチン B-57B 53-3870{1964年 横田基地} 

横田着陸時にローパスするB-57Bで、胴体下部の爆弾艙部が見えますが、EEキャンベラのクラムシェル型ドアを回転式爆弾艙に変えたことで、ドア部はすっきりしています。なお、この機体は、1964.8.6 ベトナム上空で地上砲火により撃墜されました。

 
❖ マーチン B-57A 52-1423{1964年 横田基地}

この、B-57A型は8機のみ最初に生産された型で、その後にカメラ装備の偵察型RB-57Aが67機製造されました。A型は外観上EEキャンベラと同じバブル型の風防で、、乗員の出入りは風防右下ドアからとなりますが、乗員は2名となり機首の爆撃手席は無くなりました。

 

❖ マーチン B-57E{1964年 横田基地}

B-57E型は、B-57Bの操縦装置を複式に変えたB-57C型に、テール部に標的曳航装置を装備可能としたものですが、機首及び爆弾艙部に電子偵察装置等を追加、多数の機体がEB-57E等に改造され、横田のB-57爆撃機部隊の撤退後も残っていて(テールコードGT)見ることができました。なお、この時点でも本機は、機首及び爆弾艙部に一部改造されているのが分ります。

 
❖ マーチン RB-57F 63-13302{1969年ごろ 横田基地}

RB-57F型は、B-57の主翼幅を、約2倍に延長(122.5 ft )、エンジンもTF-33 ターボファン(15.500lbs)と2倍以上の強化(更にJ60エンジンを追加)等、極端な高高度性能を目指したもので、横田にも配備(56th WRS )されていたことで、70年頃まで見ることができた、最後のB-57 型でした。製造は従来機の胴体部、水平尾翼等を除き製造されたことでRebuild扱いとなり、新たなシリアルナンバーが与えられています。この機体はRB-57A 52-1433機をベースにrebuiltされた機体で、横田の気象観測中隊(56th WRS)に配備、尾翼にweatherと記入、高度60,000ft(25,000m)からの日本での台風観測にも使用される等、話題にもなっていました。なお、横田でのRB-57Fは、機体により機首部の装備等違いもあり、いろいろな用途に使われていたと思われ、この機体の名称もWB-57Fだった可能性はあります。

 
❖ マーチン WB-57F 63-13501{1965年頃 横田基地}

RB-57D(53-3975)からrebuiltされたRB-57F型で、記録によると1965.5にWB-57F型へとありました。なお、この機体は、その後NASAへ移され(NASA925)、→(N925NA)、1982年頃までHigh Altitude Research Programの各種試験に使用されました。その後、現在はPima Air and Space Museum で展示されている機体です。

 
❖ マーチン RB-57F 63-13503{1965年 横田基地}

RB-57D(53-3974)からRebuiltされた RB-57F、最後の機体です。一時期、機首にメガネのコブラ(グリーン)とEverettの文字が記入され、思い出のある機体です。なお、所属の記録上では、1965年6091st RSの偵察部隊とされ、1968年に58th WRSでWB-57Fに改修とされていました。なお、この機体は、その後NASAでNASA926として登録、その後N357AR(National Science Foundation)、さらに、NASAのN926NAとして登録されており、現在でもNASAの現役機として60年以上使用されている機体です。2017年の日食観測でも、2機のWB-57Fが機首に観測カメラを装備、長時間太陽コロナの観測を行う等に使用されています。

 
❖ マーチン B-57B 53-3878{1966年頃 横田基地}

最後に1964年のB-57横田撤退後、ベトナムへ移った以降(8th BS )、B-57B型で塗装もベトナム迷彩となりました。なお、この機体は1969年にB-57G Night Intruderに改修(4424th CCTS)され、最後は、1972-74年の間 Kansas ANGで使用されました。

 

PAGE TOP ▲